明日も暮らす。

明日も暮らす。

シンプルで暮らしやすい生活を目指しています。オンライン英会話(英検1級)と空手(黒帯)が趣味。大学院博士課程修了(人文科学)。2児の母。

退院によせて。

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出生後、別の病院に搬送になり、NICUに滞在していた息子。

この期間、私は彼がNICUに入った2日目から毎日面会に行くことができました。

 

入院中は産院から、そして退院して自宅に戻ってからは、夫の運転で病院まで40分ほど。

こういったかたちではありましたが、夫婦二人でのドライブ、久しぶりの時間でした。

※3歳の娘は、私の産前産後のため保育園に入っています。

 

病院に着くと、

厳重に閉ざされた扉をいくつもくぐり、

念入りに手を洗い、マスクをつけ、

自宅でせっせと搾乳してきた母乳を入れた保冷バッグとカメラを片手に、

NICUに入る毎日。

 

NICUに入ったのは、人生で初めてのことでした。

ピー、ピー、ピー、と常に鳴っている機械の音と、

刻々と変わる、何の値かわからない数値。

保育器の中で、鼻や口にチューブがつながれ、

手にも点滴が入っている息子の姿を初めて見た時には、

目の前にいるのが、こないだまで自分のおなかの中にいた子であることを、うまく理解できていなかったように思います。

 

出産後2日目、息子がもっとも危機的な状況にあったとき、

私は産院の個室ベッドの上でした。

夫からの電話を受けて、混乱のままナースコールを押し、

「どうしよう、どうしたらいいでしょう、私も病院に行っていいですか?」と尋ねました。

 

息子の身体に何が起こっていたかというと、

生まれてからうまく肺がひらかなかったようで、

呼吸していたところ、

生後2日目に左右の両肺に穴が空き、漏れ出た空気が心臓を圧迫し(緊張性気胸)、

体に酸素が行き渡らなくなった時間があったそうです。

 

幸いにして、うまく漏れ出た空気を抜いてもらうことができ、

状況は徐々に改善していきました。

 

息子自身は逆子ではなかったので、

私が帝王切開の経産婦でなければ、経腟分娩で産むことができて、

入院にもならなかったかな・・・などと考えたこともありましたが、

 

「週数も充分で生まれてきて、

体重もしっかりあるので」、

「産院で、すぐにこちら(の病院のNICU)に送っていただいたことが

第一のいい判断」

 

と言っていただいたことが、救いでした。

 

娘の時も帝王切開で産んでいましたし、

帝王切開で生まれることが即リスク、ということにはならないという理解でいましたが、こういうことが起こりうるのだ、ということをしみじみ思いました。

 

NICUに通う中で、

保育器の中の息子を見て、どうしようもなく涙が出てしまったことがありました。

こんな弱い母でどうする、と自分に言い聞かせても涙が止まらず。

「お母さん、心配ですよね」とやさしく声をかけてくれた看護師さんがいらっしゃいました。

この看護師さんに限らず、NICUのスタッフの方々皆優しい方ばかりでした。

 

体重とか尿や便の回数などを記録する紙だったと思いますが、

息子の名前の後ろには、☆とか車の絵が毎回描いてあったり、

チューブを固定するテープに、

息子のイニシャルがかわいらしく書かれていたこともあり、

このNICUで、息子は看護師さんたちに可愛がってもらえているんだな、と思ってジーンとしました。

 

無機質で緊迫した空間だと思っていたNICUが、

すごく温かいところに思えてきました。

 

待ちに待った退院の日、もちろんとてもうれしいのですが、ここで受けたケアのことを思ったら、何だか去りがたくも思えました。

 

息子を産んだ手術台の上や、

息子の状態が安定してきた、と聞いた個室のベッドの上で、

頭の中で流れていたのは、

出産前に見た「君の名は」で聴いた「前前前世」でした。


前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV

 

いつか息子が大きくなって、出会うべき人に出会うためにも、

君は大きくならなければならないだよ。と思って、退院の日を待っていました。

 

この妊娠、出産を通して、

図らずも、私も息子も、医療のちからの恩恵にあずかりました。

そういう人たちがいなかったら、私は無事に出産できなかったかもしれないし、

息子も退院できなかったかもしれないです。

そして、医療の現場のプロフェッショナルの方々も、当たり前だけど、生まれた時は赤ちゃんだったわけで。

その方にも、その方を育ててくれた方々がいるんですよね。

育ててくれた方々にも感謝したい気持ちでした。

 

息子も、娘も幸せになってほしいし、

誰かを幸せにできる人になってほしいです。

 

もちろん私自身も、家族を、そして、今はもう仕事はしていないけど、これから職につくかもしれないし、あるいは仕事を通してじゃなくても、どなたかを幸せにできる人になりたいなと思いました。

 

息子。

幸せな人生を送ってね。

 

 

出産後、これまでの時間は、

比較的短期間であったとはいえ、自分にとって過ごすのが難しい時間でした。

ブログがあることで、

読んでくださる方がいることに励まされ、書くことによって救われたと思います。

スターを付けてくださったりコメントを残してくださったり、読み続けてくださった方、ありがとうございました。感謝申し上げます。

 

これからも、

子どもたちの成長記録や私の思い、生活のいろいろなどを書きつけていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

 

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© 梅つま子