最近読んだ育児(妊娠・出産含む)本の紹介です。
渡邉とよ子(2012)『35歳からの育児―高齢妊娠・出産、その先のお話』メディカルトリビューン
私はゆっくりと”今”を感じながら、ただぼーっと過ごすようなことが苦手だなーと思うことがよくあります。
いつでも考え事や懸念事項を、みずから探しに行っちゃうようなところがある気がする。
この本を読むと、自分が感じる子育ての難しさは、35歳を超えた女性ならではのモノなのかもと思え、
それを脱却するための、考え方のコツを教えてくれるような本でした。
かわいいわが子のために精一杯がんばっても、すべてパーフェクトとはいかないのが子育てです。私自身、「自分は至らなかった」という思いをいっぱい抱えていますし、だからこそ、お母さんたちの悩みも受け止められると思います。自分の子育てに100%の自身がある親なんて、いないのではないでしょうか。そもそも、子どもに降りかかるすべてのことを親が背負うなんて、おこがましい話。子どもにとっても失礼なことだと思います。(中略)仕事であれば、努力すればそれ相応の結果がついてくるかもしれませんが、子育てはまったく別。別人格の子どもがどう育っていくか、その責任のすべてを親がもつなんて無理なことです。全力投球で結果を出そうとしても、思わぬ方向に行くのが子育てなのです。(p.147-148)
焦らず楽しく育児をするために大切なのは、心を「いま、ここ」にもってくること。これが精神衛生上、一番いいことだと思います。これから先のことを考えて不安になったりすることがあるかもしれません。子育てをするうえで不安になることは、たくさんあると思いますが、必要以上に不安を膨らませて大きくしないようにしましょう。「もし、こうなったら、どうしよう」「このままで大丈夫なの?」という不安は、現実に起こっていないことを頭の中で創り出しているだけなのです。目の前の赤ちゃんは、元気に泣いていたり、すやすやと眠っていたりするのではありませんか?いま、目の前のことだけに集中することができると、気持ちがとても楽になっていきます。(p.163)
子どものいない時は、自分で関わる人たちをある程度選んでくることができたと思いますが、まずどんな子どもであるかが選べないのと同じように、子どもに関わる人たちも自分で選ぶことができないのです。かわいいわが子には絶対にベストな道を選びたいと思っても、自分ではどうすることもできないことが多くあります。とくに年齢が高くなるにつれて、いろんなことが見えてしまうので、人に対する評価も厳しくなりがちです。子どもがお世話になる人たちには、尊敬できる人格であってほしいと願いたいですが、現実には必ずしもそうとは限らない。期待するのは、その人の専門職の部分だけと割り切って、全人格まで期待しないほうがいいような気がします。例えば学校の先生は一人で何十人もの子どもを見なければいけないわけですから、たまには行き届かないことがあっても仕方ない、くらい大らかな気持ちでいたほうが、自分が楽だと思います。(p.170-171)
学生として、社会人として自分が育ってきた過程で、未熟だけども、生き方の技術や知識を確かに探ってきたと自負したい思いが、恥ずかしながら私にはあります。
そうやって身に付けてきたものを、子育てに注入しなくてどうする、と思ってしまうことが、著者の渡辺さんの言う「ベストな道を選びたい」という心性につながるんだと思う。
潔くいろんなことをいったん捨てて、子育てに入れればいいのかもしれないんだけど、それはなかなか難しいことです。
「いま、目の前のことだけに集中することができると、気持ちがとても楽にな」るといわれても、ついつい、明日の生活のことを考えてしまう自分がいます。
明日のことを心配する癖が自分にはあって、そのことが自分を助けてもきたけれど、子育てを通して、少し私は享楽的になれるといいんだと思う。
起こってもいない明日のことを心配するあまり、見過ごしてきた、目の前の今の楽しみだって大きかったはずなので。
村木紘子(2016)「妊娠中の不安」永田雅子(編)『妊娠・出産・子育てをめぐるこころのケア―親と子の出会いから始まる周産期精神保健』ミネルヴァ書房,p.82-89.
妊娠・出産・子育てをめぐるこころのケア:親と子の出会いからはじまる周産期精神保健 (別冊発達)
- 作者: 永田雅子
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2016/09/20
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
赤ちゃんを妊娠しているとき、女性は、周囲から喜びや祝福の声をかけられ、元気で健康な赤ちゃんを無事に出産することが、まるで当然であるかのような期待をかけられることがあります。そうした祝福ムードに包まれた中で、ネガティブな思いを表出することは、周囲を困惑させたり、弱さや母親失格のレッテルを貼られてしまったりする可能性もあり、女性にとっては大変勇気のいることでしょう。「妊娠は病気ではないのだから」「皆がやれていることだから」「元気に生まれるのが当たり前」「母親になるのだから強くあるべき」など暗黙裡のメッセージが、実際に女性から感じる戸惑いや心配、不安といった思いを表出しづらくさせていることもあるように思います。(p.86)
出産を経て、妊娠期間が幕を閉じたことによって、妊娠中に感じていた不安は、もう過去のものとしてうやむやになってしまいました。
幸せも楽しみもたくさん感じたけど、そうそう、妊婦だったあの時はあの時で、きつかったんだよな、と、上記の文章を読みながら思いました。
私が、いまひとつ、”今”を楽しむのが苦手な性格である、というのも関係しているのかもしれない?
・・・と、少しばかり自己分析。まだ何となく消化しきれなくてもやもや。
これから2人育児にどっぷりつかっていくと、自分が妊婦だったことも忘れていってしまいそうだけど、妊婦時代に感じていたこと・考えていたことも、今後につなげていけるといいな。