明日も暮らす。

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シンプルで暮らしやすい生活を目指しています。オンライン英会話(英検1級)と空手(黒帯)が趣味。大学院博士課程修了(人文科学)。2児の母。

日本文学がもっと読みたくなる、山崎ナオコーラ『文豪お墓まいり記』を読みました。

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おはようございます。

梅つま子です。

 

図書館で借りてきて、この本を読みました。

 

山崎 ナオコーラ 文藝春秋 2019年02月22日頃
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ちょうど大事な人のお墓参りを控えていた私には、

とてもタイムリーだったのです。

 

それに、「もっと文学に親しみたい」という気持ちは、

年を追うごとに強くなっているのです。

 

 

山崎ナオコーラさんといえば、この対談集が面白かった気がする。

 

穂村弘 筑摩書房 2009年09月
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そしてこのタイトルで衝撃を受けたデビュー作。

 

山崎ナオコーラ 河出書房新社 2004年11月
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山崎ナオコーラさんのことは、

ずっとなんとなく気になっていて、かつ、「好きな感じ」をずっと持っているんです。

 

学生時代から、「文学者が戦時下でどういう仕事をしたか」ということに興味があり、墓巡りをしていると、現代にちょうど良く墓が残っている文学者というのが、第二次世界大戦を挟んで仕事したような人が多くて、とても勉強になった。

(『文豪お墓まいり記』p.219)

 

そうだ。

ちょっと前に亡くなった作家のお墓というのは、親族やお付き合いがあった人のものという気がしてしまう。

行きにくいものなのかもしれない。

だから、第二次世界大戦前後に活躍した作家というのは、

「お墓参りにちょうどいい」(というのがもしあるのなら…)のかもしれない。

 

f:id:umet:20220204092730p:plain

 

文章は、お墓と、作家の仕事、山崎ナオコーラさんの考えを、

てくてく行き来するようで心地よいテンポでした。

 

旦那さん(書店員さん)と連れ立って行くことが多かったようですが、

旦那さんとお墓参りってなんだかとてもいいなあ。

 

「愛読しております」

私がお辞儀すると、

「本を売ります」

と夫も手を合わせる。

(『文豪お墓まいり記』p.95)

 

なんだか可愛らしいご夫婦の姿である。

 

芥川龍之介について

芥川の作品の中で私は、「蜜柑」と「奉教人の死」が特に好きなのだが、これにも筋は強くある。だが、傑作たらしてめているのは、美しい文章と鮮やかな情景描写だ。

芥川は同時代の作家の中で図抜けて文章が上手い。研ぎ澄まされている。

(『文豪お墓まいり記』p.206)

 

幸田文に対して。

一番の長所は、「思い切りの良さ」ではないだろうか。料理でも思い切り良く包丁を動かしたり、揚げたりしていたのではないかと思われる。

露伴の厳しい教育を受けただけあって知性溢れる品の良い文章だが、どこかしらで「ぱん」と弾けるような筆運びがあり、「なんでも自分で決める」「決めたら、すぐ動く」という感じの性質が飛び出す。

知的で上品な書き手は世の中にいっぱいいる。だが、「知的で上品で且つ思い切りが良い」という文章が書けたのは文ひとりだ。

(『文豪お墓まいり記』p.94)

 

あとは孫引きになってしまいますが、三好十郎の以下の文章は気になりました。

 

戦争の時期が自分にとって苦しく辛かったという理由だけで、戦争の時期そのものをひとからげにして否定したり呪ったりはできない。
それは、たとえどのように暗かったとしても、私の生活の中の十年間をギッシリと埋めてくれた実質だったのだから。(『劇作家 三好十郎』)
(『文豪お墓まいり記』p.87)

 

それから、

お墓参りとは直接関係ないけど、

おお、山崎ナオコーラさん!そのあたりの考えもう少し深くお聞かせくださる?

と思った部分がコチラ。

共感と言ってしまうとすごく浅くなるんだけど、

「こんなふうに言葉にしてくれてありがとう!私もそう思っていたかったかも!」

と思うような気持ちを、先取りして言葉にしてくれた感じです。

 

男性について。

私の夫は、身体がひょろひょろとしており、性格がとても優しい。

軍隊なんて絶対に馴染めない。

こういう男の人の素敵な軟弱さを大事にして、平和を愛していかなくては、と思う。
(『文豪お墓まいり記』p.49)

 

乳房について。

正直なところ、もしも金があったら、私も乳房を取り除きたいと思っている。

現在は授乳中なので使っているが、これが終わったらまったく必要ない。

(『文豪お墓まいり記』p.197)

 

本書の最後の著者紹介では、

目標は「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書く」。

と書いてあって、

わあ、やっぱり、山崎ナオコーラさんは、

ずっと好きなままでいさせてくれるなあ、と思ったのでした。

 

つま子

この本をきっかけに、日本文学の読書がちょっとずつ進みそうです☆

 

今日もいい一日になりますように!

 

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