おはようございます。
梅つま子です。
日本語の英語の2言語での読書を習慣にしています。
今回読んだのは、『FACTFULNESS』です。
副題は、「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」。
例えば、この本に出てくる質問から4問抜粋してみます。
A、B、Cの3択なので、ぜひ考えてみてください。
世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう?
A 50歳
B 60歳
C 70歳
世界の1歳児の中で、何らかの病気に対して予防接種を受けている子どもはどのくらいいるでしょう?
A 20%
B 50%
C 80%
世界中の30歳男性は、平均10年の学校教育を受けています。
同じ年の女性は何年間教育を受けているでしょう?
A 9年
B 6年
C 3年
いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいるでしょう?
A 20%
B 50%
C 80%
私は見事に全部間違えたのですが、どうでしょうか。
さて、答えです。
↓
↓
↓
↓
答えはすべて、Cです。
私たちは現代社会を考えるときに、
環境破壊や人口増加などを考えるときについ悲観的になりすぎてしまうけれど、
電気や初等教育の普及率、新生児の死亡率、貧困からの脱却などをデータで読み解くと、
数十年前から考えると、世界は飛躍的に良くなっている、ということを教えてくれる本です。
あなたは、次のような先入観を持っていないだろうか。
「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ。何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう。」
少なくとも西洋諸国ではそれがメディアでよく聞く話だし、人々に染みついた考え方なのではないか。わたしはこれを「ドラマチックすぎる世界の見方」と呼んでいる。
精神衛生上よくないし、そもそも正しくない。
(ハンス・ロスリング他『FACTFULNESS』p.20-21)
本の著者たち(ハンス・ロスリングとオラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド)によると、私たちには、
分断本能
ネガティブ本能
直線本能
恐怖本能
過大視本能
パターン化本能
宿命本能
単純化本能
犯人捜し本能
焦り本能
の10個を持っていて、これが本質を見る目を曇らせてしまう、というのです。
この本は2019年に発売され、ヒットしているのは知っていましたが、
なんだか内容がかたそうだし、
自分がいかにできていないかを怒られる感じの本かな、
と思っていて、
長い間近づけませんでした。
でも著者ハンス・ロスリング氏の書き方がユーモアにあふれていて明るく、
親近感を感じさせる方法で書いてくれています。
私が好きなのは以下の部分です。
わたしは、頭の中に「悪い」と「良くなっている」という2つの考え方を同時に持つようにしている。何かが「良くなっている」と聞くと、「大丈夫だから、心配しないで」とか「目をそらしてもいい」と言われている気になる。しかし、わたしは「世界は良くなっている」とは言っているが、「世界について心配する必要はない」と言ってはいない。
もちろん、「世界の大問題に、目を向ける必要はない」と言っているわけでもない。「悪い」と「良くなっている」は両立する。
世界は、保育器で育つ早産児のようなものだ。保育器では、危険な状況にある赤ちゃんをすくうべく、呼吸や心拍数など重要な数値が常に計測され、体調の変化にいち早く気づけるようになっている。
(中略)
「悪い」と「良くなっている」の、どちらかひとつを選ぶべきだろうか?もちろんそんなことはない。両方選べばいい。
『FACTFULNESS』p.91
白黒つけない、こういう見方ってやさしくて好きです。
私は英語学習者ですが、英語を学習していても、一朝一夕に自分の語学力が上がっていることを確信できるようなことはまず起こらないので、
「なんかいつまで経っても同じような間違いをするよねワタシ…」と悲しくなります。
しかし単語は毎日新しいものを覚えようとはしているし、
毎日英語に触れているので、伸びてはいるのでしょう。
読むスピードも早くなっているはず。
(ちゃんと数字で見たいものだけど。)
だから「悪い」を受け止めつつ、「良くなっている」も受け入れる気持ちのゆとりが必要だなあと思うのでした。
英語だと「Think of the world as a premature baby in an incubator.(世界を、保育器のなかの早産児と考える)」。
これは覚えていたい表現です。
ハンス・ロスリング氏はこの本の完成を待たず、
68歳でこの世を去ったそうです。
この人の考え方にもっと触れていたかったなあ、と、
本を閉じるときに、とてもさびしかったです。
今日もいい一日になりますように!