おはようございます。
梅つま子です。
英語の勉強として、
英語で書かれた作品を読んでいます。
ただし、一読しただけで内容をしっかり理解できるほどの読解力はないので、
先に日本語を読んでおくのが私のスタイルです。
今読んでいるのは、
その名の通り『少年』は学校を卒業するまでの少年時代、
そして『単独飛行』は就職、アフリカへの赴任、そしてパイロットとしてイギリス空軍に従軍した話が書かれている自伝です。
この本を読む前に、ロアルド・ダールの作品では、
『マチルダは小さな大天才』や『魔女がいっぱい』を読んでいました。
どちらの作品も、
どこか変わっていて魅力的な登場人物がいて、
最後はハッピーエンドのように見えつつ、
でも、喪失しているものは喪失しているものとしてもう二度と手に入らない
という確固とした事実が恐ろしくもそこにある。
そこにあるのに、飄々としていて、なにか、なぜかとても大丈夫なんです。
そうだけどそれでいい、という現実を肯定する感じ。
作家の自伝を読むと、
こういう生い立ちの人だからこういう作品になるのか…と答えあわせをしたくなります。
たとえばマチルダの受けた教育にあった暴力に関しては、
なるほどロアルド・ダールの学生生活の中にも、先生からの無理解と暴力があったこと、
そしてロアルド・ダールのおばあちゃんはとても優しい人で、
それが『魔女がいっぱい 』のおばあちゃんにつながってくるのか…と。
『単独飛行』の解説は宮崎駿さんによるもので、
ロアルド・ダール評がとても面白いです。
彼はただの”爽やか馬鹿”じゃなくて 何か大きなブラックホールだという気がします。確実に存在しているんだけれども、そう簡単には正体は掴めない。
(『単独飛行』p.273)
ダールという複雑な人間像は、ぼくの中では 簡単に片付けてしまうことができない強さを持っています。とっておかなければいけない本というか、分類不能な魅力がある。彼はものすごくヘビーな部分を持っていますが、それを(表に)出さない。実に爽やかに自分が選んだことですみたいな顔をして、私は私として ここにいるという、最後まで貫くという強さを持っています。
(『単独飛行』p.275)
空を飛んだ作家と言えば、『星の王子さま』のサン=テグジュペリもそうですね。
ロアルド・ダールが1916年生まれで(うちのおばあちゃんのひとつ年上だ)、
テグジュペリは1900年。
まだ飛行機の技術の安全性が十分確立されていなかった頃のパイロットたち。
「空から戻って、生きて地上でお話を書く」という、
とても美しい小さい頼りなく心強い営みに向き合う時間が彼らにあってよかった、
と思う。
飛行機乗りの書く世界の際立った美しさと悲しみとおかしみ。
『星の王子さま』もそうだけど、ロアルド・ダールの書くお話はずっと心に残ります。
もうひとつ気になっているダールの本は『一年中わくわくしてた』で、
これもダールが幼少期を思い出して書いた本らしい。
それにしてもこんな素敵な日本語タイトルある?
原題は『My Year』というのに、日本語でこのタイトル。
『ぼくの一年』とかじゃないんだ!すごいセンス。
柳瀬尚紀さんの手による翻訳なのだそうで、これも絶対に読まなきゃいけない、と思ってるし、もうすでに『一年中わくわくしてた』という題が胸から離れません。
今日もいい一日になりますように!