おはようございます。
梅つま子です。
最近読んだ本の2冊のご紹介です。
図書館で借りて読みました。
左は上橋菜穂子さんのエッセイ。
古代日本を舞台にしたファンタジーを書かれている方だとは知っていましたが、
文化人類学者でもいらっしゃるのですね!
「ご高名はかねがね…」という気持ちで読み始めました。
ご自分のおっちょこちょい話などをあまりにも気さくな感じに書かれてて、
とっつきやすすぎて拍子抜けしました。
もっと硬い感じの文章を書く方かと思っていた!
古代日本ファンタジーといえば中学生のころからこの本が好きすぎて、
「きちんとした気持ちで向き合わなければいけない」と思うので、
なんだか気軽に手に取れないんですよね。
荻原規子 徳間書店 1996年07月31日頃 売り上げランキング :
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でもこれを機に上橋菜穂子さんの本も読んでみたいな。
それこそ図書館の、ヤングアダルトコーナーにたくさんあります。
もう一冊は韓国語からの翻訳で、
一時期日本でも話題になりました。
私の胸を一番打ったのはここ。
自分が退職したときの経験と重なってしまう。
最初の職場だった。社会への第一歩だった。
社会はジャングルで、学校を出た後にでき た友だちはほんとうの友だちじゃないと言われるけれど、必ずしもそうではなかった。
合理的なことより不合理なことが多かったし、仕事の中身に比べたら報酬も少なかったが、 どこにも所属しない個人になってみると、会社はしっかりした盾だったと思える。
同僚も良い人の方が多かった。
関心のあることや趣味が似ているせいか、学生時代の友だちよりむしろ心が通じた。
高給でもないし、世間にむかって大声で主張できることがあるわけで もないし、目に見え、手で触れるものを作り出す仕事でもなかったけれど、何よりキム・ ジヨン氏にとっては楽しい仕事だった。
与えられた業務をやりとげて昇進したときには達 成感も感じたし、自分の収入で自分の生活に責任を持つことはやりがいもあった。
だが、 それらのすべてが終わりになったのである。キム・ジヨン氏に能力がないわけでも、まじめにやらなかったわけでもないが、そうなった。
子どもを他人に預けて働くのが子どもを 愛していないからではないように、仕事を辞めて子どもを育てるのも、仕事に情熱がないからではない。
(『82年生まれ、キム・ジヨン』p.138)
韓国人の友人に聞いたら、「男は大体この本嫌いだよ。うちの夫も」とのこと。
韓国社会で、普通の女性がどんな大変な目にあっているかを語っている本なので、
男性が喜んで読む本じゃないんだろうなあ。想像に難くない。読んでほしいけどな。
でも読めてよかったです。
読んだ後は心が痛すぎて、再読する気持ちになれなかったけど、
意外と英語で読んだほうが客観的になれるかも。
英訳も出てます。
自分の本棚に恒久的に置く本ではないかもしれないけど、
読んでおきたい本だったので、図書館で読めてよかったし、
私のところで止めてないで早く次に回さないとです。
貸し出し期限はまだ切れてないけど、書架にあることで人の目に触れますしね。私もそうやって手に取りました。
(紙媒体の)本を借りて読むのは私にとって比類するものがない娯楽のひとつですが、
家族を見ててもわかるけど、
別に本を読まなくてもやっていける人たちはいて、
そういう人から見ると、「ボーリング場が無料」みたいな感覚なのかもな、と思ったりました。
私はボーリングは嫌いじゃないけど、たとえ無料だったとしても、
私は別にせっせと通ったりはしないでしょう。
行ったり行かなかったりじゃないかなあ、くらいの熱量なので、
私が愛するものがたまたま全国的に無料で展開されていることのありがたさを感じます。
好きなものが推されていてよかった。
個人的な好みと、全体における決定事項のマッチングの妙。
子どものころは、体育が嫌いだったから、
「なんで体育なんて教科があるんだろ、運動会なんてものがあるんだろう」と呪っていました。
体育は義務教育の中に入ってなくてもいいのに、とその当時は思いましたっけ。
それでも決定的にセンスのなさそうなものが5教科に入ってなくてよかった。
けん玉とか。けん玉が受験科目だったら私に行ける学校はなさそう。
図書館がある国に生まれたのはよかった。
本当に。
図書館がある国に生まれてよかった。
これからも図書館があり続けますように。
ネイティブキャンプの先生からの話を聞いても思うけど、
図書館があるのは、未来にわたる決定事項でも当たり前でもなんでもない。
図書館が普通にあちこちにあって、無料で気軽に入れる国ばかりじゃないのですから。
上橋 菜穂子 講談社 2017年12月15日頃 売り上げランキング :
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チョ・ナムジュ/斎藤 真理子 筑摩書房 2023年02月13日頃 売り上げランキング :
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今日もいい一日になりますように!